「トリマーは技術がすべて。カット技術が上手ければ一流だ」と言われることが多い業界です。でも、それは半分本当で半分間違いです。
私は銀座本店で8年トリマーとして働いていますが、正直なところ、入社当初はカット技術だけを必死に磨いていました。「とにかく早く、綺麗に仕上げなきゃ」とそればかり考えていた時期があります。でも、ある日、店長に言われた一言で、自分の視野の狭さに気づきました。
「技術だけ磨いても、犬が怖がってたら意味ないよね」
その言葉がきっかけで、私はソプラが考える『いいトリマー』とは何かを考え直すようになりました。今日は、技術以外の部分で現場が実際にどんな観点を大切にしているか、お話しします。
犬の小さな変化に気づけるかどうか
トリミングは技術職ですが、同時に観察業でもあります。カットの技術が高くても、犬の体調変化や違和感に気づけなければ、プロとして不十分だと私は思っています。
先月、私が担当していたミニチュアシュナウザーのリンちゃん(3歳)の例があります。いつも元気な子なのに、その日は足取りがやや重く、シャンプー中に後ろ足をかばうような仕草がありました。
すぐに飼い主さまに連絡して確認したところ、前日に階段で滑ったとのこと。念のため施術を中断し、簡単なシャンプーのみで終了しました。後日、飼い主さまから「病院で診てもらったら軽い捻挫でした。気づいてくれてありがとう」とお礼の連絡をいただきました。
このような観察力は、マニュアルには載っていません。何頭も担当する中で、「いつもと違う」という違和感をキャッチできるかどうか。これは技術以上に大切なスキルだと感じています。
見るべきポイントは皮膚だけじゃない
私たちが観察しているのは、こんなポイントです:
- 歩き方や姿勢のわずかな変化
- 耳の中の匂い(外耳炎の兆候)
- 口臭の変化(歯周病のサイン)
- 被毛の手触り(皮膚トラブルの前兆)
- 犬の表情や反応速度
もちろん、すべてを完璧に見抜けるわけではありません。でも、「なんとなく気になる」という感覚を言語化して、先輩や店長に相談できる環境がソプラにはあります。
新人トリマーへ
観察力は経験とともに育ちます。最初は「何を見ればいいかわからない」のが当たり前。先輩のチェック項目を真似ることから始めれば大丈夫です。
お客様の「言葉にならない期待」を汲み取る力
技術以外でもうひとつ大切なのが、飼い主さまとのコミュニケーション能力です。
「いつも通りでお願いします」と言われたとき、本当にいつも通りでいいのか。実は季節や犬の年齢、ライフスタイルの変化に合わせて微調整が必要なケースもあります。
たとえば、夏前になると「短めで涼しく」というリクエストが増えますが、冷房の効いた室内で過ごす時間が長い犬の場合、かえって短くしすぎると寒がることがあります。そういった状況を想像して、「今回はこのくらいの長さがおすすめです」と提案できるかどうか。
クレームから学んだこと
恥ずかしい話ですが、3年目の頃、お客様からご指摘を受けたことがあります。「丁寧だけど、なんだか事務的」という内容でした。
当時の私は、カウンセリング時に「ご要望を正確にヒアリングすること」ばかり考えていて、その子の性格や飼い主さまとの関係性に関心を向けていませんでした。技術的には問題なかったはずなのに、何かが足りなかった。
それ以降、カウンセリングの最初に「最近〇〇ちゃん、お散歩楽しんでますか?」といった雑談から入るようにしています。たった30秒の会話ですが、その子の今の様子や飼い主さまの関心事が見えてきます。
チームに何を還元できるか
ソプラでは、個人のスキルアップと同じくらい、チーム全体への貢献が評価されます。
たとえば、私が最近担当している新人トリマーのMさん(入社半年)は、カット技術はまだ発展途中です。でも、彼女はシャンプー後のドライヤー作業がとても丁寧で、被毛の仕上がりが美しい。
ある日、私が「どうやってそんなにふんわり乾かせるの?」と聞いたところ、彼女は自分なりのドライヤーの角度とブラシの使い方を教えてくれました。その方法を店舗内で共有したら、他のスタッフも仕上がりのクオリティが上がったんです。
こういう小さな知識やコツを、惜しまずチームに還元できる人は、技術の成長速度以上に職場で信頼されます。
共有が当たり前の文化
ソプラでは月1回、店舗ごとに「テクニックシェア会」という勉強会を開いています(強制参加ではありません)。そこで各自が最近学んだこと、失敗から得た気づきを発表します。
たとえば池袋店の宮武シニアトレーナーが紹介していた「緊張しやすい犬へのアプローチ方法」は、私も今でも参考にしています。こうした横のつながりが、個人の限界を超えた成長につながっています。
詳しいスタッフ紹介はスタッフ紹介ページでもご覧いただけます。
自分自身のコンディションを整える責任
意外に思われるかもしれませんが、ソプラでは「自己管理能力」も重要な評価ポイントです。
トリマーは体力勝負の側面があるのは事実です。1日5〜7頭担当すると、腰や肩に負担がかかります。でも、疲れた状態で犬に接すると、自分では気づかないうちに雑な扱いをしてしまうことがあります。
私自身、入社2年目に腰を痛めて1週間休んだことがあります。無理して働き続けた結果、かえってチームに迷惑をかけました。それ以降、日々のストレッチ、定期的な整体、そして「しんどいときは素直に言う」ことを心がけています。
心の健康も同じくらい大切
身体だけでなく、メンタル面のケアも欠かせません。動物相手の仕事は癒しも多い反面、噛まれたり引っ掻かれたり、思い通りにいかないストレスもあります。
ソプラでは、定期的に店長との1on1面談があり、困りごとや悩みを相談できる仕組みがあります。また、スタッフ同士で食事に行ったり、愚痴を言い合える関係性も大事にしています。
「弱みを見せるのは恥ずかしい」と思う必要はありません。むしろ、早めにSOSを出せる人の方が、長く現場で活躍しています。
注意
もちろん、どんなに自己管理をしても体調を崩すことはあります。大事なのは「完璧であること」ではなく、「自分の状態に気づいて対処できること」です。
技術は前提、その先が’いいトリマー’
ここまで読んで、「じゃあ技術はどうでもいいの?」と思った方もいるかもしれません。もちろん、そうではありません。
カット技術は、トリマーとしての大前提です。でも、技術だけを追求しても、犬に寄り添えなければ、飼い主さまに信頼されなければ、チームで働けなければ、プロとしての価値は半減します。
ソプラが考える『いいトリマー』とは、技術という土台の上に、観察力・コミュニケーション力・チーム貢献・自己管理といった複数のスキルをバランスよく持っている人です。
そして、それらは決して最初から完璧である必要はありません。私も8年かけて少しずつ身につけてきたものです。今も完璧ではありません。でも、日々の仕事の中で意識し続けることで、確実に成長を感じられています。
これから応募を考えている方へ
もしあなたが「技術に自信がないから不安」と感じているなら、それは心配しすぎかもしれません。技術は研修と経験で必ず伸びます。
むしろ、「犬が好き」「飼い主さまの笑顔が見たい」「チームで働くのが好き」という気持ちがあれば、それが一番の素質だと私は思います。
ソプラのトリマー募集要項はこちらのページで詳しくご覧いただけます。また、2026年秋の中途採用キャンペーンも実施中です。
この記事を読んで「ちょっと面白そう」と思った方は、店舗見学だけでも歓迎です。私が銀座本店をご案内しますので、エントリーフォームから気軽にお問い合わせください。
