「トリマーは技術が全てだから、とにかくカットの練習を積めばいい」と思っていた時期がありました。専門学校でも、先輩からも、技術力こそがトリマーの価値だと教わってきたからです。でも、それは半分本当で半分間違いでした。
SOPRA銀座本店で3年目を迎えた今、私のトリミング指名率は月平均で40%を超えています。技術は確かに大切です。でも、お客様が「また来たい」と思ってくださる理由は、実はカットの仕上がりだけではないんです。
初回のお客様が教えてくれたこと
入社1年目の夏、私が担当した初回のお客様のことを今でも覚えています。トイプードルの「ココちゃん」、当時8ヶ月の女の子でした。
飼い主様は40代の女性で、「前のサロンで怖がってしまって…」と不安そうに話されました。その時の私は、とにかくカットを上手く仕上げなきゃと焦っていて、お客様の話を十分に聞けていませんでした。結果、ココちゃんは緊張したまま施術を受け、飼い主様も「ありがとうございました」と一言だけ残して帰られました。
先輩トリマーの寺原さんに相談すると、こう言われました。「技術の前に、まずお客様の不安を受け止めてあげないと。わんちゃんは飼い主さんの気持ちを敏感に感じ取るから」。
ヒアリングで変わった接客の質
それ以来、初回のお客様には特に時間をかけてヒアリングするようにしました。具体的には以下のようなことを聞いています:
- 以前のサロンで嫌がった場面はあったか(ドライヤー、爪切り、シャンプーなど)
- ご自宅でのお手入れ状況(ブラッシングの頻度、嫌がる部位)
- 性格の特徴(人見知り、音に敏感、甘えん坊など)
- 普段の生活リズム(お昼寝の時間、お散歩の時間帯)
ただ質問するだけじゃなくて、「うちの子もそうなんですよ」と自分の愛犬の話を挟んだり、「それ、すごくわかります」と共感を示したり。5分程度の会話ですが、この時間があるかないかで、お客様の表情が全然違うんです。
先月担当したチワワの「モモちゃん」の飼い主様は、「こんなに丁寧に聞いてもらえたの初めてです」と涙ぐまれました。前のサロンでは流れ作業のように受付を済ませていたそうで、愛犬のことを本当に大切に思ってくださっているのが伝わってきました。
トリミング後の「報告タイム」が信頼を育てる
SOPRAでは、お迎え時に必ず5〜10分の報告時間を設けています。カルテに記入した内容をもとに、その日のわんちゃんの様子を飼い主様にお伝えするんです。
最初は「シャンプーとカットをしました。おとなしかったです」くらいしか言えなかったのですが、先輩の久保田シニアトレーナー(湘南辻堂店・恵比寿店)から「お客様が一番知りたいのは、自分が見ていない時間にうちの子がどう過ごしたか、なんだよ」と教わりました。
「今日の様子」で伝えること
今は以下のような報告を心がけています:
- 最初は緊張していたけど、シャンプー中に尻尾を振り始めたこと
- 苦手だった爪切りを、おやつで気を逸らしながら頑張れたこと
- カット中にウトウトしていて、リラックスしてくれた様子
- 他のわんちゃんとすれ違った時の反応
- 毛玉があった場所と、今後のケアのアドバイス
技術的なことだけじゃなくて、「今日はこんな表情をしていました」「こんなしぐさが可愛かったです」と、感情の部分も伝えるようにしています。お客様は、私たちが自分のわんちゃんをどれだけ丁寧に見てくれているか、そこで判断されているんだと実感しています。
ポイント:報告は一方通行ではなく、お客様からも質問や相談を引き出す時間です。「最近気になることはありますか?」と聞くだけで、飼い主様の心配事が見えてきます。
指名をいただけるようになって気づいた信頼関係の価値
入社2年目の冬、初めて「次回も〇〇さんにお願いしたいんですが」と指名をいただきました。柴犬の「ハナちゃん」の飼い主様でした。
正直、その時のカット技術は完璧とは言えませんでした。でも飼い主様は「ハナのことをちゃんと見ていてくれるから安心できる」と言ってくださって。技術は練習すれば上達するけど、お客様との信頼関係は日々の積み重ねでしか築けないんだと、その瞬間に理解しました。
リピーターのお客様との関係
今では月に1回、定期的に来てくださるお客様が15名ほどいます。2ヶ月ぶりに会うと、「前回教えてもらったブラッシング、続けてます!」とか、「最近こんなことがあって…」と近況を話してくださる。わんちゃんの成長を一緒に見守れることが、この仕事の一番の喜びだと感じています。
先日、3歳になったココちゃん(冒頭で触れたトイプードル)が久しぶりに来店されました。飼い主様は「あの時は不安だったけど、今では娘がSOPRAに行くのを楽しみにしているんです」と笑顔で話されて。あの時ちゃんと話を聞けていなかった自分を思い出して、少し恥ずかしくなりました。
接客で大変だと感じること
もちろん、コミュニケーションがうまくいかない日もあります。
お客様の要望が曖昧で、何度聞いてもイメージが掴めなかったり、仕上がりに満足いただけずクレームになったり。時には、わんちゃんの体調不良で急にキャンセルになることもあります。「またこの人に担当してほしくない」と思われているんじゃないか、と不安になる夜もありました。
でも、そういう時こそ先輩に相談したり、SOPRAのスタッフ同士で事例を共有したりすることで、次の接客に活かせています。銀座本店では毎週ミーティングがあって、「こんなお客様対応をしたらうまくいった」という情報交換ができるんです。
技術と接客、両方あってこそのトリマー
今では、技術と接客は車の両輪だと考えています。どちらが欠けてもお客様に満足していただけない。
SOPRAには技術研修だけでなく、接客やコミュニケーションに関する研修制度もあります。私も入社時に受けた「初回接客ロールプレイ」や「クレーム対応トレーニング」が、今の自分のベースになっています。
カットの技術は毎日の練習で磨かれますが、お客様との信頼関係は一朝一夕には築けません。でも、その積み重ねが「また来たい」という気持ちを生み出して、結果的にリピーターのお客様が増えていく。それが実感できた3年間でした。
これから応募を考えている方へ
もしあなたが「トリマーは技術職だから、人と話すのが苦手でも大丈夫かな」と思っているなら、それは少し違うかもしれません。でも逆に、「人と関わる仕事が好き」「お客様の笑顔を見るのが嬉しい」と感じるなら、この仕事はきっと向いています。
私も最初は、お客様の前で緊張して言葉が出てこないこともありました。でも、先輩のサポートや日々の経験を通じて、少しずつ自分らしい接客スタイルを見つけられました。SOPRAのトリマー募集要項を見て、「こんな環境で働いてみたい」と思ったら、ぜひ一度話を聞きに来てください。
あなたは、5年後どんなトリマーになっていたいですか?技術を極めたスペシャリストか、お客様から信頼される相談役か、あるいは両方か。その答えがSOPRAにあるかは、まず話してみて確かめてください。エントリーフォームからお待ちしています。
