今朝、銀座本店のトリミングルームで、ゴールデンレトリバーの太郎くん(体重32kg)のシャンプーを担当しました。大きな体をブルブルッと震わせて水滴を飛ばす姿を見ながら、ふと思い出したんです。入社したばかりの頃、この子と同じくらいのサイズの犬を前にして、私は足がすくんで動けなくなっていたことを。
あれから2年。今では大型犬の担当を任されるまでになりましたが、正直に言います――私、入社当時は犬が怖かったんです。
「犬好き」じゃなければトリマーになれないと思っていた
専門学校でトリミングの技術を学んでいた頃、周りのクラスメイトはみんな「犬が大好き!」「将来は愛犬と一緒に暮らしたい!」と目をキラキラさせていました。私も犬は嫌いじゃなかったけれど、どちらかというと「かわいいな」と眺める距離感が心地よくて。
実習で大型犬を担当することになった日のこと、今でも鮮明に覚えています。体重30kgを超えるラブラドールが興奮してジャンプしてきたとき、私は咄嗟に後ずさりしてしまいました。先生に「大丈夫、落ち着いて」と声をかけられたものの、心臓はバクバク。手は震えていました。
その日の帰り道、私は本気で悩みました。「犬が怖いなんて、トリマーに向いてないんじゃないか」って。
それでもSOPRAを選んだ理由
就職活動を始めたとき、私は正直に面接で話しました。「大型犬が少し怖いです。でも、トリミングの技術を学ぶのは楽しくて、犬たちをきれいにする仕事がしたいんです」と。
銀座本店で面接してくれた寺原シニアトレーナーは、私の言葉を最後まで聞いてから、こう言ってくれました。
「怖いって感じるのは、犬のことをちゃんと見ようとしてる証拠だよ。自分の感情に正直でいられる人のほうが、長く続けられると思う」
この言葉に救われた気がしました。怖さを隠して無理に「犬大好き!」と装わなくてもいいんだ、と。SOPRAには様々なバックグラウンドを持つスタッフがいて、それぞれのペースで成長できる環境があると聞き、ここでなら自分も変われるかもしれないと思ったんです。
入社直後、恐怖は現実になった
入社して最初の1ヶ月は、小型犬のシャンプー補助からスタートしました。トイプードルやチワワなら何とか対応できたのですが、問題は2週目に起きました。
忘れられない「あの日」
ある日、先輩のサポートで中型犬(柴犬のハナちゃん、12kg)のシャンプーを担当することになりました。元気いっぱいの子で、トリミング台の上でもじっとしていられないタイプ。私がシャワーヘッドを持った瞬間、ハナちゃんが大きく体を揺らして――シャワーが私の顔に直撃。
驚いた私が手を離しそうになったとき、ハナちゃんが飛び降りようとしたんです。慌てて押さえようとしたら、余計に興奮させてしまって。その日は結局、先輩に交代してもらいました。
更衣室で着替えながら、情けなくて涙が出ました。「やっぱり私には無理なのかな」って。
先輩の言葉が転機になった
その様子を見ていた先輩トリマーのMさん(入社5年目)が、休憩時間に声をかけてくれました。
「私も最初は怖かったよ。特に爪切り。犬が暴れたらどうしようって、手が震えてた」
え、あのベテランのMさんが?と驚く私に、彼女は続けました。
「怖いのは、犬を傷つけたくないって気持ちの裏返しなんだよね。その気持ちは大事にしたほうがいい。ただ、怖がってるだけじゃ犬も不安になるから、少しずつ『自分が守る』って気持ちにシフトしていくといいよ」
この言葉が、私の中で何かが変わるきっかけになりました。
段階的な練習が恐怖を自信に変えた
SOPRAには、新人の成長をサポートする仕組みがいくつかあります。私の場合、寺原シニアトレーナーが個別に「恐怖克服プログラム」みたいなものを組んでくれました。大げさな名前ですが、内容はとてもシンプルでした。
ステップ1:まずは観察から
最初の2週間は、先輩のトリミングをひたすら見学しました。ただ見るだけじゃなくて、「この犬はどこを触られると嫌がるか」「どんな声かけで落ち着くか」をメモしていったんです。
観察を続けるうちに、気づいたことがありました。犬が興奮するのは、こちらの緊張が伝わっているときが多いんです。先輩たちは、どんなに大きい犬でも、落ち着いた声と安定した手つきで接していました。
ステップ2:得意な子から始める
次に、性格が穏やかな小型犬を何頭か「担当犬」として任せてもらいました。毎週同じ子を担当することで、その子の性格や癖が分かってくる。すると、自然と「この子のことは私が一番分かってる」という自信が芽生えてきたんです。
特に印象に残っているのが、トイプードルのモモちゃん(当時3歳)。最初は私が近づくだけで震えていたのに、3回目の来店時には尻尾を振って迎えてくれました。飼い主さんから「うちの子、あなたのこと好きみたいですね」と言われたとき、本当に嬉しくて。
ステップ3:苦手な状況を細分化する
3ヶ月目あたりから、「何が具体的に怖いのか」を紙に書き出してみました。
- 大型犬が突然動くこと
- 吠えられること
- 爪切り中に暴れること
- シャンプー中に飛び降りようとすること
これを寺原シニアトレーナーと共有したところ、一つずつ対策を教えてもらいました。例えば、大型犬が突然動く恐怖には、「動く前の予兆(耳の動き、体の力の入り方)を読み取る練習」を。吠えられる恐怖には、「吠える理由を理解して、その原因を取り除くアプローチ」を。
もちろん、最初からうまくいったわけではありません。先週も、シャンプー中に大型犬に水をかけられて、心の中で「うわっ」となりました。でも、以前のように足がすくむことはなくなっていました。
今では怖がりな犬の気持ちが誰よりわかる
入社して2年が経った今、私には一つの強みができました。それは、「怖がっている犬の気持ちが分かる」ということ。
先月、初めて来店したミニチュアダックスフンドのリンちゃん(1歳)がいました。トリミング台に乗せた瞬間から震えが止まらず、他のスタッフが触ろうとすると唸り声を上げてしまう子でした。
私はリンちゃんの目を見て、すぐに分かりました。「この子、私と同じだ」って。怖いんです。何が起こるか分からない場所で、知らない人に囲まれて。
だから、私はいつもより時間をかけました。まず、トリミング台の横に座って、リンちゃんのペースで匂いを嗅がせる。触るときも、「今から背中触るよ」「次は足だよ」と、一つ一つ声をかけながら。
30分かけて、ようやくリンちゃんが私の手を受け入れてくれました。シャンプーを終えたとき、飼い主さんが涙ぐんでいました。「他のお店では断られて…ここまで丁寧にしてもらえると思わなかった」と。
寺原シニアトレーナーは後で私にこう言ってくれました。「怖さを知ってるから、怖がってる子に寄り添える。それは才能だよ」
この言葉を聞いたとき、私は初めて「トリマーになってよかった」と心から思えました。
「向いてない」と思う気持ちは、成長の入り口
今、この記事を読んでいるあなたは、もしかしたら「犬が少し怖い」「自分にはトリマーは無理かも」と感じているかもしれません。
私も同じでした。専門学校の実習で後ずさりしたあの日、就職活動で弱音を吐いたあの日、入社直後に更衣室で泣いたあの日――全部、「向いてない」と思った瞬間でした。
でも、振り返ってみると、その「向いてない」という不安こそが、私を慎重にさせ、犬一頭一頭と丁寧に向き合う姿勢を育ててくれたんです。
SOPRAだから続けられた理由
正直に言うと、もし別の環境だったら、私は途中で辞めていたかもしれません。SOPRAには、新人が安心して成長できる土台がありました。
- 個別の成長ペースを尊重してくれる先輩たち
- 失敗を責めるのではなく、「次はどうする?」と一緒に考えてくれる文化
- 定期的な研修で、技術だけでなくメンタル面もサポートしてくれる制度(福利厚生の詳細はこちら)
- 「完璧なトリマー」ではなく、「その人らしいトリマー」を目指せる環境
特に印象的だったのは、入社半年後の面談で寺原シニアトレーナーに言われた言葉です。「君は犬が怖かったからこそ、怖がる犬の専門家になれる。それでいい」と。
もちろん、今でも大変な日はあります。噛み癖のある犬を担当するときは、正直ドキドキします。でも、その緊張感が、私を油断させない。怪我をさせないための集中力になっています。
これからSOPRAを目指すあなたへ
この記事を書いたのは、かつての私と同じように「犬が怖いけど、トリマーになりたい」と悩んでいる人がいるかもしれないと思ったからです。
もし今、あなたが「自分には無理かも」と感じているなら、一度SOPRAのエントリーフォームから話を聞きに来てみてください。面接じゃなくて、店舗見学だけでも大丈夫です。私たちがどんな風に犬と接しているか、どんな雰囲気で働いているか、実際に見てもらえたらと思います。
「犬好き」じゃなくても、トリマーにはなれます。「怖い」という気持ちは、丁寧さに変わります。完璧じゃなくても、少しずつ前に進めば、気づいたときには天職になっているかもしれません。
今日も、銀座本店には私の担当犬たちが予約を入れて待っています。2年前には想像もできなかった景色です。あなたと同じ景色を見られる日を、楽しみにしています。
