「トリマーはミスが許されない職業だから、完璧にできないと続けられない」とよく言われます。でも、それは半分本当で半分間違いです。
私は銀座本店で働く3年目のトリマーですが、今でも失敗はします。先週も、カット中にトイプードルのモコちゃんが突然動いてしまい、耳の付け根を予定より短く切ってしまいました。
この記事では、私が入社1年目に経験した大きな失敗と、そこからどう立ち直ったかをお話しします。トリミング中のミスへの不安を抱えている方、完璧主義のプレッシャーに押しつぶされそうな方に読んでいただきたい内容です。
入社半年、初めての「やってしまった」
入社して半年が経った頃の話です。シーズーのチョコちゃんという常連犬のカットを任されました。「そろそろ一人でも大丈夫だろう」と先輩が判断してくれたのですが、私は内心かなり緊張していました。
カット中、チョコちゃんが予想外に首を動かした瞬間、バリカンが耳の上部に当たってしまいました。本来残すはずだった毛を、2センチほど刈ってしまったんです。
その瞬間、頭が真っ白になりました。手が震えて、次にどうすればいいのか分からない。「飼い主さんに何て説明しよう」「怒られるだろうか」「もう辞めるしかないのか」——そんな考えが頭の中をぐるぐる回っていました。
新人トリマーがミスをした時の典型的な心理状態
- パニックで次の判断ができなくなる
- 「全部自分が悪い」と思い込む
- ミスを隠したい衝動に駆られる
- 自分には向いていないと結論づける
先輩が教えてくれた「プロの対処法」
固まっている私に気づいたのは、隣でカットをしていた入社5年目の先輩Mさんでした。私の表情を見て、すぐに「どうした?」と声をかけてくれたんです。
状況を説明すると、Mさんは落ち着いた声で言いました。
「大丈夫。まず深呼吸して。そのあと、私が見るから一緒にリカバリー考えよう」
Mさんは私の手元を確認すると、こう提案してくれました。
- 反対側の耳も同じ長さに揃える
- 全体のバランスを見て、頭部のカットラインを少し調整する
- 飼い主さんには正直に状況を説明し、次回無料でお直しする旨を伝える
「ミスは誰にでもある。大事なのは、そのあとどう対処するか。隠さず、誠実に、できる限りのリカバリーをする。それがプロだよ」
Mさんの言葉に、少しだけ冷静さを取り戻せました。
飼い主さんへの説明で学んだこと
カットが終わり、お迎えに来た飼い主さんに状況を説明する時、店長の寺原シニアトレーナーも一緒に同席してくれました。私一人で説明させるのではなく、サポート体制を取ってくれたんです。
正直に経緯を話し、リカバリーの内容と次回の対応を伝えると、飼い主さんは「大丈夫ですよ。むしろ正直に言ってくれてありがとう。次回よろしくお願いしますね」と笑顔で言ってくださいました。
この時、「ミスそのものより、その後の対応で信頼は決まる」という寺原さんの言葉が、深く心に残りました。
失敗を隠さない文化が、成長を支える
SOPRAには、失敗を報告しやすい雰囲気があります。ミスをしたら即座にチームに共有し、一緒にリカバリー策を考える。これが当たり前になっているんです。
もちろん大変な日もあります。先月、新人のYさんが爪切りで犬の爪を深く切りすぎてしまい、出血させてしまったことがありました。Yさんは泣きそうになっていましたが、すぐに店舗全体でフォロー体制を組み、飼い主さんへの説明、獣医師への連絡、Yさんへのメンタルケアまで対応しました。
失敗を隠してしまうと起こること
- リカバリーのタイミングを逃す
- 同じミスを繰り返す
- 精神的に追い詰められる
- チーム全体の信頼関係が崩れる
SOPRAでは「報告=責任を果たすこと」という認識が共有されています。
月1回のミーティングで事例共有
各店舗では月に1回、トリマー全員でミーティングを開いています。そこで「今月のヒヤリハット」として、ミスや危なかった事例を共有するんです。
最初は「自分の失敗を話すのは恥ずかしい」と思っていましたが、先輩たちも自分の失敗談を笑いながら話してくれるので、だんだん話しやすくなりました。
この前のミーティングでは、六本木店の鵜澤シニアトレーナーが「自分も新人の頃、カット中にバリカンの刃を犬の背中に落としてしまったことがある」という話をしてくれました。19年のキャリアを持つベテランでも、当時は失敗していた。その事実が、すごく励みになりました。
失敗から学んだ「プロの判断力」とは
あの失敗から3年経った今、私はチョコちゃんの担当を続けています。飼い主さんとも良好な関係を築けていて、「あの時は本当にありがとうね」と声をかけてくださることもあります。
失敗を経験して気づいたことがあります。それは、「プロの判断力」とは完璧にこなすことではなく、ミスをした時にどう対処するかを知っていることだということです。
3年目の私が新人に伝えていること
今では私も後輩を指導する立場になり、新人のトリマーに技術を教えることがあります。その時に必ず伝えるのは、以下の3点です。
1. ミスをしたら、すぐに声を上げる
一人で抱え込まず、近くにいる先輩にすぐ報告する。リカバリーは早ければ早いほど、選択肢が増えます。
2. 「次どうするか」を一緒に考える習慣をつける
ミスを責めるのではなく、「じゃあどうしよう?」と建設的に考える。これを繰り返すことで、判断力が養われます。
3. 完璧主義より、誠実さを優先する
100点のカットを目指すのは大事ですが、それ以上に飼い主さんやチームに対して誠実であること。これが信頼につながります。
SOPRAのトリマー募集要項を見ると、「未経験歓迎」と書いてあります。これは単なる求人文句ではなく、「失敗しながら成長できる環境がある」という意味だと、今なら理解できます。
今、不安を抱えている方へ
もしあなたが今、「ミスをしたらどうしよう」「自分には無理かもしれない」と不安を感じているなら、一度SOPRAのスタッフ紹介ページを見てみてください。そこには、私と同じように失敗を経験しながら成長してきたスタッフたちの姿があります。
トリミング技術は、一朝一夕で身につくものではありません。私も最初の半年は、毎日のように「向いていないかも」と思っていました。でも、失敗を受け止めてくれるチームと、正直に向き合える環境があったから、ここまで続けてこられました。
完璧である必要はありません。大事なのは、失敗から学び続ける姿勢と、それを支えてくれる環境です。SOPRAには、その両方があります。
最後に
カット中に犬が動いてミスをする。これは、どんなベテランでも起こりうることです。私が学んだのは、「失敗しないこと」ではなく「失敗した後、どう対処するか」でした。
この記事を読んで、少しでも「自分にもできるかもしれない」と思ってくれたら嬉しいです。不安や疑問があれば、エントリーフォームから気軽に相談してください。店舗見学だけでも大歓迎です。
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