春の陽射しが差し込む湘南辻堂店のレッスンルームで、今日も新人トレーナーと一緒に子犬のトレーニングを見守っています。隣で緊張した表情でリードを握る後輩を見ていると、6年前の自分を思い出します。私、久保田がシニアトレーナーになって2年。犬を教えることと、人を教えることは、まったく違う仕事だということを、この2年間で痛感してきました。
「なぜできないの?」が口癖だった、指導1年目
シニアトレーナーに昇格したのは、入社4年目の秋でした。当時の私は「自分ができることは、きちんと説明すれば誰でもできるはず」と思っていました。この思い込みが、後輩指導の最初の壁になるとは知らずに。
初めて担当した新人トレーナーのMさんは、動物専門学校を卒業したばかりの22歳。犬は大好きだけれど、飼い主さんとのコミュニケーションに苦手意識を持っていました。私は自分が得意としていた「飼い主さんへの説明の仕方」を丁寧に教えたつもりでした。
でも、Mさんはなかなか上達しませんでした。何度同じことを伝えても、レッスン中に言葉に詰まってしまう。イライラが募り、つい「なぜできないの?」と言ってしまった日のことを、今でも後悔しています。Mさんの目に涙が浮かんでいました。
その時、鵜澤シニアトレーナーに言われた言葉
「久保田さん、あなたも最初からできたわけじゃないでしょう。Mさんの『できない理由』を考えたことある?『なぜできないか』じゃなくて、『何があればできるようになるか』を一緒に探してあげて」
この言葉が、私の指導スタイルを変えるきっかけになりました。
教えることで気づいた、自分の「無意識の動き」
鵜澤さんのアドバイスを受けて、私はMさんの接客を録画して一緒に見直すことにしました。そこで驚いたのは、私自身が「無意識にやっていること」がたくさんあったという事実です。
言語化できていなかった基礎技術
例えば、飼い主さんに犬の行動を説明する時、私は自然と以下のことをしていました:
- 飼い主さんの表情を見て、理解度を確認しながら話すスピードを調整する
- 専門用語を使った後、必ず「つまり〜ということです」と言い換える
- 犬の動きに合わせて、視線を「飼い主さん→犬→飼い主さん」と移動させる
これらは経験の中で身についたもので、自分では意識していませんでした。だから「丁寧に説明する」という抽象的な言葉でしか教えられなかったんです。
Mさんに「久保田さん、今『つまり』って言いましたよね。それ、いつも言ってます?」と指摘されて、初めて自分の話し方のパターンに気づきました。教えることで、自分の技術を分解して見つめ直す。これが後輩育成の最初の学びでした。
基礎トレーニングの意味を、改めて理解した
新人時代、私は「オスワリ」「フセ」といった基礎トレーニングを、正直「単純作業」だと思っていた時期がありました。でも後輩に教えるために、なぜこの順序で教えるのか、なぜこのタイミングでご褒美を与えるのかを説明しようとした時、その一つ一つに深い理由があることに気づいたんです。
寺原シニアトレーナーが銀座本店の研修で言っていた「基礎は、応用のためにあるんじゃない。基礎そのものが、犬との信頼関係を作る過程なんだよ」という言葉の意味が、ようやく腑に落ちました。6年目にして、ようやく。
失敗から学んだ、一人ひとりに合わせた指導法
Mさんとの経験から、私は後輩一人ひとりの「学び方」が違うことを理解するようになりました。
Mさんは「実際にやってみて、失敗から学ぶタイプ」でした。だから、私が細かく指示を出すより、ある程度任せて、後でフィードバックする方が成長しました。一方、その後に入ってきたKさんは「事前にしっかり理解してから動きたいタイプ」。彼には、レッスン前に入念なシミュレーションの時間を取るようにしました。
正直、しんどい時もあります
自分のレッスンをこなしながら、後輩の指導もする。スケジュール管理は正直大変です。先月は後輩の急なシフト変更で、自分の休みがずれ込んだこともありました。「プレイヤーとして完璧にこなしたい」という思いと、「育成者として時間を割きたい」という思いの間で、今も揺れる日があります。
でも、そんな苦労を上回る瞬間があるんです。
後輩の成長が、自分の新しいやりがいになった
先日、Mさんが初めて単独で「問題行動改善コース」を担当しました。飼い主さんから「先生のおかげで、うちの子が変わりました」と感謝の言葉をもらったMさんが、レッスン後に泣きながら報告に来てくれたんです。
「久保田さん、私、本当にトレーナーになれたんですね」
その言葉を聞いた時、自分がレッスンで成功した時とは違う、温かい喜びが胸に広がりました。犬の成長を見守る喜び。それは今も変わらず大切です。でも、人の成長を支えることで得られる充足感は、また別の次元のものでした。
シニアトレーナーとしての責任と誇り
SOPRAのシニアトレーナーの役割は、単なる「上級トレーナー」ではありません。店舗全体のトレーニング品質を維持し、新しいスタッフを育て、時には飼い主さんからの難しい相談にも対応する。SOPRAのドッグトレーナー募集要項を見ると、シニアクラスには明確な期待値が示されています。
プレッシャーもあります。でも、それ以上に「この店舗のトレーニングは、自分が責任を持つ」という誇りが生まれました。後輩たちが自信を持ってお客様の前に立てるように。それが私の仕事です。
「教える」ことで見えた、トレーナーの新しい景色
今、私が担当している後輩は3名います。それぞれ個性も成長速度も違います。正直、自分だけのレッスンに集中していた頃の方が、技術的には尖っていたかもしれません。
でも、今の方が「トレーナー」という仕事の奥深さを実感しています。犬を教えるプロであることはもちろん。でも、その技術を次世代に継承していくことも、同じくらい重要な使命だと気づきました。
宮武シニアトレーナーが池袋店で言っていた言葉があります。「俺たちがやってることは、犬と人の関係を良くすることだけじゃない。この仕事を次の世代に、もっと良い形で渡していくことなんだよ」
この言葉の意味が、シニアになって初めて分かりました。
これから応募を考えている方へ
もしあなたが、ドッグトレーナーとしてのキャリアパスに興味があるなら。犬を教えることだけでなく、人を育てることにも可能性を感じられるなら。SOPRAには、そのためのステージが用意されています。
シニアトレーナーになるまでの道のりは、決して楽ではありません。基礎技術の習得、飼い主さんとの信頼関係構築、問題行動への対処…覚えることは山ほどあります。でも、その先に「教える喜び」という新しいやりがいが待っています。
私も最初は、自分が人を教えられるなんて思っていませんでした。でもSOPRAの先輩トレーナーたちに支えられながら、少しずつこの役割に慣れてきました。あなたにも、きっとできます。
湘南辻堂店で、あなたが後輩を指導する日を想像しています。その時、今日の私のように「教えることで、自分も成長できた」と感じてもらえたら嬉しいです。まずはエントリーフォームから、あなたの想いを聞かせてください。一緒に、この仕事の新しい景色を見に行きましょう。
